建築に関するいろいろな相談窓口や、実際身内であった出来事、そして仕事を通して、
建築関係者とそうでない方たちとのズレをしばしば感じます。
そしてその特殊な建築の世界の慣習(?)にギモンを感じる今日この頃です。
無論、私はこの業界の人間ではありますが、一番エンドユーザーに近い身として、
切実に感じるのかもしれません。
一番大きなズレは見積もり価格でしょう。
この工事単価というのは一般常識にはない、関係者以外さっぱり見当のつかないものなのです。
まず、メーカーのカタログをご覧になった方、どう思われました?
”えーっこれってこんなに高いの(@o@)??”
全部定価だと建材や設備だけで家建っちゃうじゃない…
先日も木製サッシの見積もりでたまげました(定価できてたので)
Net価格の交渉をしてやっと本来の値段になります。
じゃぁ、定価って何だったの??と言う話です。
定価があって定価で買う人のいない物には、ご存知、家電品があります。
これは何千円、数万円位の違いなので、たいした問題にはならないかもしれないのですが、
建築の場合は何百万円、下手すりゃ何千万円の違いが生まれるわけです。
これでは施主の不信感を招くのは必須です。定価で出しておいて何百万円も値引きする…
一体いくらの物なんだということになります。10万20万をどう思ってるの?と言いたくなります。
実際工事価格は、材木や建材などの材料の値段と、職人さんや技術者の人工(にんく)によってはじかれます。
この上に、工務店やハウスメーカーの営業経費、本社経費、利益がのるのが普通です。
一概に高い安いといえるわけではありませんが、
坪単価というのはある意味わかりやすい目安になるとは思います。
もう少し業界以外の方が見てなるほどと言いえる見積もり形式を考えていきたいと思います。
*******
この業界は、一般になじみのない事柄が多く専門性が高いため、
大抵の方が、疑ってかかることが多いです。
手抜き工事だの欠陥建築物だの、よくマスコミで取り上げられていますし、
実際いいかげんな業者もないとはいえず、疑われて仕方のないことかもしれません。
大切なのは専門知識のある技術者による施工や監理・検査体制です。
欠陥住宅は欠陥を造ろうとしたわけではなく、知識不足・認識不足のために起こるといえるからです。
建築はほとんどがオーダーメイドです。ハウスメーカーですらセミオーダーで、
同じ物を大量に造るシロモノではありません。
大勢の人の手を経てやっと完成します。
人間のすることですからミスもありますが、監理体制がしっかりしていれば
おおごとにならないで処理できます。
工務店やハウスメーカーにも設計士がおりますが、あくまで工務店側に近い立場です。
ですので、施主側に近い専門家というのが設計事務所になるわけです。
*******
最後に、家造りにしろ、店舗造りにしろ、モノ造りに共通していえること。
それは、愛着と情熱ではないかと思うのです。
どんなプロジェクトも情熱を持ってそれに深くかかわる人間がどれだけいたか、
成功か否かはそれによって決まるといっても過言ではありません。
メーカーや看板だけで判断できない、ヒューマニズムも大切な要素だと思っています。