ファッションに流行があるように、住まい造りにも流行があります。
その仕掛け人はメディアにであったり、メーカーであったり、様々です。
でも、大きな流れとしては社会的な背景はあると思います。

たとえば、中でも特に移り変わりの激しいキッチンについて。
雑誌やカタログは生活シーンの提案をしています。
とっても素敵で快適そうですよね。

提案はあくまで提案であって、
さて、自分のライフスタイルにぴったりくるか。
そこが一番大切です。流行に流され、実際はとても使いにくかったり、
カタログのようにいかず、散らかってしまったり…
失敗しても10年以上はお付き合いしなくてはなりません。

20~30年前はキッチンは壁側についていてダイニングと一体になっている
オープンスタイルが主流でした。
作った料理が振り返れば食卓ですので
運ぶ必要もなく、後片付けも楽です。
ただ、散らかった台所は丸見え、食器棚はちょっと遠い、
などの難点がありました。

15年くらい前から独立型や対面式(半独立型)がはやりました。
ちらかった台所は食卓から見えません。
だからきちんと片付けてなくともまぁOK。
食器棚をバックに造りつけると、
収納力もあり、すっきりします。
難点は配膳の動線が長くなり、 できたてのお料理を盛り付けるスペースが必要になること。
また、限られたスペースのため、二人以上で使おうとすると
手狭な感じになってしまいます。

最近はまたオープンキッチンが人気のようで、
メーカー各社が力を入れてます。
以前のように壁に付けず、アイランドにして、
壁にはバック収納を、といういいとこどりのキッチンです。
キッチンに集うという、作ってコミュニケーションを楽しむ方向に変ってきました。
個室重視の一昔の住宅に比べ、
家族のありかたを見直す設計に変りつつある今、
その流れに合ってるようですね。

私も思春期の子供の親であり、
いろいろな問題(?)や悩みを経て、
まずは家族が集うところとしての住まい造りの必要性を
痛感しています。
以前のように玄関から誰にも会わずに2階の個室に行ける間取りを希望する方は
少なくなりました。
光熱費を考えつつも、リビングから2階に上がりたいという希望の方がほとんどです。
階段も狭くて急だったものが、リビングのアクセントになったり
オブジェになったりするようになりました。
これには断熱性や気密性の向上も一役買っているかもしれませんね。

自分たちのライフスタイルを曲げず、
理想を考えて、それに合わせた住まいを考えることが、
一番居心地のいい住まいになると思っています。